「 満月のジョガー 」
月光を全身に浴びながら
夜道をジョギングしてる
つきまとうような影は
俺にしか分からない孤独
夜なのに
地上をまんべんなく明るくしてる
心臓みたいな月
ひとつ
これまでも、いろんな月があった
悔しい夜には半分割れた月
愛に気づいた夜は
線みたいに細い細い月だった
灰色のトンネルの中を走り抜ける
はっはっはっはっ
ゴールのない
マラソンみたいに長い長い人生
気がつかないうちに
いつの間にか
何か欠けている
もう、いらなくなって
失くなってしまった
息を吐いたぶんだけ
静かに解かれる
冷たい歩道橋のうえ
このまま
立ち止まらなくても
夜空を青く溶かしながら
昇っていく月を知っている
ココペリ「生きいそぐ理由なんてどこにもないさ」