「生活音」 季節が変わる度の身支度は もっと豊かな場所にいくため 草原の緑は深く濃い 風が吹いて来れば 旅立つ理由がいくつもある 水平線を目指して 地平線を越えていく そして朝 油をひいたフライパンに 一滴の光が落ちると ぱちんと弾ける音に驚いた鳥た…

「柘榴(ざくろ)」 ヴィーナスから手渡された 生命のたわわ 掌(てのひら)のなかで 息づきながら ハートのかたちをしてる かつて花だった女神の やわらかな産毛の感触に口づけを 言葉を尽くしたい どれくらい歓喜してるか 黄金の実のなる 小さな星に生まれて …

「さくらんぼ」 まよなかすぎに つきがおとずれる ドアからでなく まどからやってくる こんばんはいらっしゃい おひさしぶり げんきにしてた このまえあったとき しらんぷりしてたよね そうだった まあ、あのよるは たしかかいきげっしょくで きせつもまだは…

「 満月のジョガー 」 月光を全身に浴びながら 夜道をジョギングしてる つきまとうような影は 俺にしか分からない孤独 夜なのに 地上をまんべんなく明るくしてる 心臓みたいな月 ひとつ これまでも、いろんな月があった 悔しい夜には半分割れた月 愛に気づい…