:ReVision

魂の設計図に進化と統合を

ケンタウロスの痛み🏹♈16°MNNキロン合

 

 

 高次のレベルは、低次のレベルをいつでも(低次のままで)超越し包含することができる。高次のものが低次のものを超越/包含するとき。その段階(ステージ)はより真実の段階に近づいていると言える

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 2024年2月20日小惑星キロンが、自我の進化のポータルポイント:月のノード軸の北ノードと重なり合います。

 日蝕/月蝕を引き起こす月のノード軸は、宇宙のポータルが開くポイントであり、自我(太陽/月)がそのとき(重心を南から北へ)感情プロセスしている状況を説明します

 2日後2月22日はみずがめ座で金星/火星が会合し、金星/火星の新しいサイクルが始まる日です。よって年初から始まる新しい人間関係(パーソナル・リレーションシップ)のサイクルが、自我の感情プロセスの方向性(♈16°北ノード)と同期(シンクロ)していることが分かります

 

 小惑星キロンはギリシア神話ケンタウルス族のひとり賢者ケイローン(カイロン)から名付けられました。占星術では一般に「傷ついたヒーラー、内なる教師」と呼ばれています

  賢者ケイ-ロンが医術や薬草学、音楽、占星術の優れたマスターであったことから、ヒーラー(療法家)や占星術師など他者と痛みを共有し合ういわゆる対人援助職の才能を示す星でもあります

ja.wikipedia.org

 

minaminosimano.hatenablog.com

 キロン(カイロン)は土星天王星の間にある小惑星です。その軌道は非常に珍しく、現実/物質世界(土星)と精神世界(天王星)のあいだの架橋(ブリング)を表しています

 天才(才能)、熟達(マスター/マスタリー)、洗練さ、という土星/天王星の共通項にも特徴されます


 ギリシア神話によると、カイロンは偉大な​​ヒーラーであり、英雄たちを育てた賢明なマスター(教師)であり、不死不滅のケンタウロスの 1 人でした。

 他者の痛みを癒せる優れたヒーラーであった賢者ケイローンは、お気に入りの弟子のヘラクレスに毒矢を誤射され、自分の痛みは癒せず不死をプロメテウスに譲って死んでしまう。

 賢者ケイローンとプロメテウスは、神話的元型の神々が織りなすギリシア神話の世界でたいへんめずらしい犠牲的に他者を助ける仏教の大乗的人物である(人物というか半人半馬)

 けれども神話的エゴの権化たる神々の世界において大乗仏教的人物はひどく苦しめられる

 月のノード軸はカルマ(南ノード)からダルマ=愛と法(北ノード)への道である。その北ノードが小惑星キロンと重なり合う。他者は癒せるのに、自分は癒せないという小惑星キロンの痛みのパラドックス

 現実のリアリティのなかで、人生のなかで起こるパラドックス自体の許容は、自己の存在、その視点/視座(Perspective)に深化(深層性)の深みをもたらしてくれる。

 なので理論として、他者の痛みを感情共有することは、自分自身にとってもプラスになる。自我がプロセスできる痛みの許容範囲を大きく広げてくれるはずだ

 けれど私はキロンのシャドーを感情プロセスすることが、けして容易でないことを知っている。人間の意識が、ある視点(perspective)を抱擁(embrace)することは必然的に盲点を抱え込む

 タイポロジーの学問が抱擁している限界と危険性。人間の心の痛みをタイプ化してしまう行為の尊大さ

 キロンは占星術師の傷とシャドーである。これは明らかに私のシャドーである

 痛みというナイーブな感情を扱う時、その人物が抱えている何か根本的な精神的原因や内面多様性をかなり見逃している危険性が高いのではないか?

(非二元の解決策を探る効力はある。そして神話的元型を使って神話的役割に閉じ込められている人々のペルソナやシャドーを剥がしている)

 2日後の2月22日は同日に金星/火星の新しいサイクルが始まる日です。火星はキロンのあるおひつじ座のルーラー、金星は月の南ノードのあるてんびん座のルーラー

 いて座の星座は、弓を持つ賢者ケイローンから来ています。ケイローンの死後、ゼウスは彼を憐れみ、彼を天空に引き上げ、いて座となりました。

 いて座のルーラー木星は今おうし座にあります。おうし座の雄牛はオリンポスの大神ゼウスの化身ですが、また同時にケンタウロスでもあるのです。

 おうし座は身体性と五感をはじめとする感覚(金星)、テリトリアル(縄張り)です。よってここには肉体的/身体的なシャドーが確実にあります。

 木星のシャドーは過剰消費と浪費です。天王星の意識の光は自分の肉体的/身体的なシャドーを突き止め、高い視座から解決策をもたらし、このシャドーを回収します

 小惑星キロンはおうし座側と明確に連動しています。木星は行動(火星)の背景となるビリーフ(信念)システムであり、自分の信念体系に持ち込まれるSomethingNew(新しい何か)到来する新しい波(Wave)、熟達(マスター/マスタリー)すべきテーマの新章(ニューチャプター)です。

 木星は4月21日におうし座21°で天王星と会合し、今年は木星/天王星(新しいパラダイムの到来)の13年サイクルが始まります。

 おうし座と天王星の組み合わせは、未来にサステナビリティ(持続可能性)するリソースの創造です。持続的な成長(木星)を可能にする事業ドメインを導入するときです

 

 

 私たちの心が、心の傷をいつまでも握りしめ手放さないのはなぜだろう?

 人間は心の痛みと悲しみを、どうしていつまでも抱きしめたままでいるのだろう

 答えは私たちの自我(エゴ)にある。自我が過去のある経験の痛みを自分の存在意義の一部と認識してしていることに気づく必要がある。気づくと、解毒や解放が始まる

 しかし古い自我はいつでも見知らぬ自我(新しいエゴ)に抵抗する(内的動力学は変わらない)かくして同じような経験を引き寄せる。同類を呼びもする。しかし人間の認識と共感能力の向上は、痛みという感情の正体を知り、乗り越えた経験値を持ち、的確な解決策を自分と他者の双方に与えることができる。これを才能と呼ぶ。

 自我は自分という存在の認識に、感情(喜怒哀楽)と自我の影(シャドー)を常に必要としている。

 自我が苦痛、痛みを握りしめて手放さないのは、痛みという感覚もまた自我に自分という自己の存在感を与えるからだ。けれど人は、けして癒えることのない痛みや喪失感の意義と重要さについて、ある年齢になるころ気がつく。

 痛みは私たちに慈悲を教え、苦しみは慈愛を教えるのだ…

 小惑星キロンのサイクルはおおよそ50年。50歳を過ぎたころ出生図の位置に戻って来ます

 月のノード軸と違って小惑星キロンの軌道は楕円なのでサインによって滞在年数が異なります。なので月ノード軸との会合サイクルも一定でありません

 1年のうち156日ほど逆行している。今年の逆行は7/26♈23°-12/30♈19°

 北ノードとの会合は前回は2008年♒19°。次回は2038-2039年。反転している南ノードも合してくる

 おひつじ座は分離・独立・解放のサインです。小惑星キロンは分離や解放に同時に痛みもあり、自分の自我が感じている分離(セパレート)の痛みを自覚的に感情プロセスする必要性を示している

 この感情プロセスは、ひとを強さ(牡羊座)のマスターにもするだろう

 人間を最大に成長させるのは、いつでもパーソナル・リレーションシップです。おひつじ座/てんびん座の元型は主観(火)/客観(風)のバランスの回復を自分の視点/視座に呼び込んでくれる。この軸で私が自戒しておくべき視点/視座は、より普遍的な正義(justness)。金星は他者のニーズにコネクトする女性性(受容性)であるけど、集合領域に入っていく金星は、そのニーズを受け入れるかどうかの判断に風サインの認識力の向上、バランスをジャッジメントできる識別力を養っていく

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 成長には成長痛がある。傷つかなければ成長できない領域が人生に確かにある。

 自分自身について言うなら、痛みのパラドックスを受け入れることは、痛みという感情の積極的なプロセス・ワークになるかもしれない

 自分のトラウマに溺れるのではなく、トラウマを受け入れ、同じように苦しんでいる他の人を助け、苦しみが人生の一部であることを受け入れることができるなら、小惑星キロンは叡智(ウィズダム)の鍵になります

 対人援助職に就く人にとって、自分の教師となる人物が、ただ技術(アート)の教師でなく、ケアネスな教師やグルであることは重性です。賢者ケイローンはただの教師でなく、英雄たちの養育者でもあるのです。

 私たちは自他の境界と双方のケアネスにもっと自覚的であるべきだ。もっと慎重(ケアフル)であるべきだ。この意見に変わりはない

 

 占星術では、キロン(カイロン)は私たちの治癒不可能な怪我と不治のトラウマを象徴しています。賢者ケイローンはクロノスとニンフの母親のあいだで生まれましたが、母親のニンフは半人半馬のカイロンの姿に恥と嫌悪感を抱き、彼を捨てました。

 小惑星キロンには拒絶による痛みがあらわされています。

 賢者ケイローンは太陽神アポロンと月の女神アルテミスの兄弟に拾われ、アポロンから音楽、医学、予言の技を、アルテミスから狩猟を学んだとされます。ペーリオン山の洞穴に住み、薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしました。

 またヘラクレスやカストールら英雄たちに請われて武術や馬術を教え、イアーソーンやアクタイオーンを養育し、アキレウスの師でもありました。

 アスクレーピオスには医術を授けました。

 拒絶の経験を乗り越え、カイロンは偉大なマスターになったのです。

 

 有史以来、人間の死のほとんどは痛みとともにあった。ホスピスケアの登場は最近の話である

 (うお座が医療であり、さそり座が象徴の死でもあるため、ホスピスケアの発展や先進国での安楽死の選択権は、海王星60°冥王星の長期座相が人類にもたらした恩寵)

 死は痛みと同義であり、そこから逃れたいという人間の切なる願いは、人間の意識に遺伝子レベルで深く刻み込まれている。

 小惑星キロンはアステロイド小惑星)帯:キューパーベルト由来であり他のアステロイド同様、人間の影(シャドー)、とくに現代を生きる人間の感情の陰が濃い

 人間は、とく現代史はこの死の痛みに癒しの光を与えようとしてきた

 ホスピスケアや先進国で安楽死の理解が広がったのは、キロン・リターン後の人類の寿命が医療の発達により延びていったことと無関係でない。

 死と死の痛みから目を背けず、社会の中でひろく共有し問題解決しようという動きが海王星60°冥王星的に人間社会に広がっていったのである

 小惑星キロンの50年サイクルは、人間という有機体が避けることのできない死と死の痛みを、集合のなかで広く共有し、その痛みを共感によって他者とともにプロセスし、生命と人生の深遠さを理解させる

 

 キロンの痛みは「イニシエーションゲート」の一種です

 現代占星術が、数多いアステロイド群のなかで小惑星キロンを特別扱いするのは、自我の痛みの自覚が、現代を生きる我々に必要不可欠な要素だからだ。途方もなく複雑で、また予測不可能な今の時代を

 「痛み」は私たちの意識(アウェアネス)を深く目覚めさせます

ケンタウロス族From Wikimedia Commons